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大きな可能性秘めるアドベンチャートラベル

Adventure Travel Trade Association
Regional Director, Asia (アジア担当部長)
ジェイク・フィニフロック氏

有機的に発展遂げた新たな産業分野

Q.日本では、まだ馴染みの薄い印象もある「アドベンチャートラベル」について、ご説明いただけますか。

 フィジカルアクティビティと自然体験、文化交流体験という3つの要素にフォーカスしているのが「アドベンチャートラベル」です。そのムーブメントは約50年前の1970年代に、米国や南米、ヨーロッパなどで同時に胎動が始まりました。当初は、サイクリングやトレッキング、リバーラフティング、登山などの愛好者が、興味のある一般の人たちを自然の中に連れ出して、アウトドアアクティビティを楽しんでもらうという形からスタートしています。そうした動きの中から、アウトドアレクリエーションコミュニティともいうべき共同体が形成され、一般の人たちの活動をアシストするためにスモールビジネスを立ち上げ、産業としての一歩を踏み出すことになったわけです。旅行の形態としても、アウトドアアクティビティを日帰りで楽しむだけでなく、いわゆる伝統的なキャンピングなどと組み合わせて、複数のアクティビティを1週間くらいの日程で、次第に遠方へ出かける形でプログラム化されるようになり、いわば自然発生的に動き始めたアドベンチャートラベルが産業として有機的な成長を遂げてきたとも言えると思います。

Q.今、「産業」という言葉を使われましたが、具体的には、どういったプロセスを経てきたのでしょうか。

 例えば、米国の場合、はじめは一つの州の中で完結していたのが、州境を超えた動きに広がっていき、フィッシングやリバーラフティングを楽しむ新しい川を求めて、ブラジルまで出かけて地元の人々に地域ならではの楽しみ方を教わったりするようになりました。最初は小規模の会社で扱っていたアドベンチャートラベルも、次第に、大規模な旅行会社も手掛けるようになり、デスティネーションとして新しい国へのツアーを開発したり、アクティビティの内容も次第に多様化したりしてきたのです。

 現在は、時代的な背景や社会的な要請なども踏まえて、各国の政府や旅行産業も、このアドベンチャートラベルという新しいプロジェクトに取り組んでみようかという段階に入ってきている状況だろうと思います。現在は、成長分野であるツーリズムの中でも最も勢いを増しているアドベンチャートラベルですが、小規模の専門会社や小さな専門的グループが中心になって形成されてきたビジネスモデルであり、自然保護や環境保全に専門性の高い知識を持っている人たちが従事して、一般の人々が楽しめる状況をつくってきているということは、留意していただきたいポイントです。

日本は興味深いデスティネーション

Q.ATTAという組織について、教えてください。

 1990年に設立され、現在の組織形態になった2004年から本格的な活動を展開してきています。2004年当時、約1000社だった会員数も1300社以上に拡大してきており、アドベンチャートラベル分野での主要な発言主体として世界的に認知されるようになっています。私自身は、2016年にアラスカでATTAの会議が開催された際、会議参加者向けの研修ツアープログラムを策定したのがATTAとの最初の関わりです。私は10年間ほど学術調査活動のため中国に住んでいた経験があり、その活動の一環として中国の関係者をアラスカに連れていき、その時に、アジアでの活動強化を目指していたATTAからコンサルタントとして協力することを要請され、現在の仕事をするようになりました。フィリピンやベトナムなど東南アジアの国々も視野に入れていますが、現在は、日本と中国、インドの3カ国でのアドベンチャートラベルの普及・拡大を中心に活動を行っています。

ATTAの長野県での現地視察で、トレイルツアーのアドバイスをするジェイク氏(中央)

Q.日本におけるアドベンチャートラベルの可能性をどのように見通していらっしゃいますか。

 アドベンチャートラベルという言葉自体は新しいイメージかもしれませんが、実は、日本では数十年にわたって、アドベンチャートラベルの取り組みが進められてきているのです。JTBは1980年代にはアラスカへのツアー開発に着手していますし、東京には50年近くにわたってトレッキングツアーに特化したビジネスを展開している旅行会社もあり、常連顧客も多くいて成功を収めてきています。また、アドベンチャートラベルのデスティネーションとしても、日本は大きな可能性を秘めている国です。初めての来日で北海道へ行き、自分が育ったアラスカを思い出しました。雪に覆われた山々や深い森、温泉など地熱エリアの多さ、熊や鷹などの野生動物など、目を開かされる思いでした。北海道だけにとどまらず、火山列島の山岳国家である日本は、森林地帯に多くのトレッキングコースも整備されていますし、アウトドアアクティビティのメニューも豊富です。また、自然と深く結びついた日本文化は奥深く、旧街道の歴史的な魅力なども備わっており、国際的にも大きな訴求力を持っています。全国に点在する国立公園での活動なども組み合わせると、様々なプログラムを開発できる余地も大きく、インバウンドの外国人旅行者にとっても、非常に興味深いアドベンチャートラベルのデスティネーションになりうると考えています。

熊本県の「下城きのこ園」で原木栽培のシイタケを手にする、ATTAのシャノンCEOとジェイク氏。
アドベンチャーツーリズムにおいてその地の農家との交流は、ATTAが謳う「文化交流」の重要な一角を担うと、ジェイク氏は話す。
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