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【ATTAレポート】トラベル&ツーリズム業界におけるサステナビリティの追求

ATTAは「旅行・観光業界におけるサステナビリティの追求」をテーマにレポートを発表しました。アフターコロナを見据えた観光産業にはサステナビリティ(持続可能性)が必要不可欠といえます。

また、2021年に改訂版が発表された、ATTAによる『アドベンチャートラベルガイド基準 Adventure Travel Guide Standard(ATGS)』においても、ガイドに必要な能力にサステナビリティへの意識・対応が強調されているなど、with/afterコロナにおけるキーワードといえるのではないでしょうか。

そこで観光産業におけるサステナビリティに焦点を当てた本レポートの和訳全文を掲載いたしますので、ぜひご一読ください。

(画像出所:ニュース)

ーーーーー(本文・和訳)ーーーーー

トラベル・ツーリズム業界(Travel&Tourism=T&T)は、この分野におけるグローバルな変革の燃料として持続可能性を採用することにより、COVID-19危機から前進することができる。人、地球、繁栄のバランスをとることは、ビジネスリーダーやデスティネーションの専門家達の計画である。パンデミックを抑制した後の活動を再考することで、持続可能性はこの分野で良い方向に向かう力となる。

COVID-19が発生するまでの60年間、一貫した成長を続けてきたT&Tは、目を見張るような成長率と強力な予測を掲げて危機に臨んだ。T&Tは経済の成功譚であり、2019年には世界のGDPの10.3%を占め、3億3,000万人の雇用に貢献し、多くの国の経済の中核となっている。しかし、この成長は、地域社会や旅行先への影響、一部の国のT&T収入への過度な依存、環境悪化への懸念など、社会的な不安の高まりを伴っている。T&Tが持続可能性に焦点を当てれば、T&Tは「より良いものを取り戻す」ことができ、その負の影響を軽減し、地球市民として、よりバランスのとれた経済と公平な社会への貢献を進めることができる。

T&Tのビジネスリーダーたちは、持続可能性についての考え方を、業務上の影響だけではなく、事業を展開する広範なシステムにまで広げている。そして、ハーバード大学はその取り組みを支援している。ハーバード大学のレスポンシブル・ツーリズム研究プログラムは、世界旅行観光評議会(the World Travel and Tourism Council)と各界のリーダーの支援を受け、最近、T&Tの持続可能性に焦点を当てた研究ケーススタディと研修プログラムを発表した。The Travel Corporationの場合は、持続可能な開発目標がどのように旅行者の選択をサポートしているかを示し、より意識的な消費者主義の傾向に寄り添っている。Intrepid Travel社の場合は、Bコープ認証(※B Corporation)までの道のりを紹介し、外部の独立した評価が責任ある観光への総合的なアプローチに与える影響を詳述している。研修内容は、サステナビリティ・リーダーシップの推進、科学的根拠に基づく目標の制定行動経済学の活用健康文化の導入など、さまざまなトピックをカバーしている。これらの教材は、2020年9月1日に開講するハーバード大学の新講座「Pursuing Sustainability in the Travel & Tourism Sector」の基礎となるものである。このコースは、T&Tがサステナビリティを加速させ、持続可能な開発目標を達成するために、世界水準の学術的な内容とT&Tの権威をゲストスピーカーとして迎えて行われている(登録は2021年8月26日まで)。

T&Tが持続可能性を追求するためには、T&Tの活動がもたらすトレードオフやジレンマに注意を払う必要がある。T&Tを支えるインフラは、食品や農業、エネルギーや公衆衛生など、他の経済区分と連携しているため、自然資源や社会資源に負担をかけることになる。感染症のリスク、水不足、環境悪化、二酸化炭素の排出、廃棄物、労働者の健康、森林破壊、規制緩和、地方分権、民営化、権力の細分化などは、T&Tセクターが直面する世界規模なサステナビリティにおける問題のほんの一部である。T&Tセクターは、より持続可能な活動を事業に取り入れるため、協調して努力している。しかしその活動と報告は、通常、企業の社会的責任に限定されており、事業戦略や旅行者の体験には反映されておらず、これらは今後の重要な機会である。

T&Tセクターは、世界経済への重要な貢献を認識すると同時に、消費者の懸念、無計画なデスティネーションの増加にさらされている地元の人々、そして気候変動や公平性に関するマクロ的な関心に対応して、持続可能性計画を加速する必要がある。アフターコロナの世界を「いつも通り」に戻すような政策やプログラムに対してOECDが警告を発しているように、T&Tの回復は、世界の変化を促進するサステナビリティを構築するために活用することができる。そのためには、統合された(戦略的)行動を推進するための統合された(システム)思考が必要である。T&Tの企業は、トリプルボトムライン会計とサステナビリティマネジメントシステムを統合し、透明性のある結果を追跡・報告することができる。

持続可能性は、旅行者が自分の選択や行動が世界に与える影響を意識しながら国内外のデスティネーションを訪れるようになることで、T&Tの次の普通の生活の基盤となる。世界最大級の区分として、持続可能性を戦略的なビジネスの優先事項とすることで、より持続可能な経済への世界的な移行を加速することができる。T&Tは一枚岩ではなく、関係各国が一様に国際機関や公衆衛生団体に規制を加えることを望んでいるわけでもない。しかし、持続可能なT&Tには、これまで以上に多くの調整、監督、監視、計画が必要である。人々と地球を長期的に保護することで、T&Tセクターは共有価値を創造・維持し、持続可能性を根本的な変革の原動力として、新たな社会契約を結ぶことができるのだ。

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